人には様々な生き方があります。
歴史の教科書に良いも悪いも名を残す人もいれば、人知れず生きて人知れず死んでいく人。
まず二つとして同じ生き方をした人などいないわけです。
そう考えると、ここまで100億以上の人生模様があるのでしょうね。
そんな中、私の友人からメッセージが。
『ポリープができたんだけど、とった方がいいのかな?』
この友人は中学生時代からの腐れ縁である。異性である。
いつもいつも明るく、そして意味のないことに情熱を燃やす、いわゆる【悪友】である。
そんな友人から久々の連絡で、自分の中では【またわかり切ったことを…とったほうがいいに決まっている】
と思っていたが、あまりきつく言うのも。。。だったので、とったほうがいいだろーと返答した。
【入院しないといけないかな?】【仕事どうなるんだろう。。。】と、僕にしたらくだらないわかりきったことを聞いてきやがったと思った。
【声でなくなるって言われたんだけど、それでもとったほうがいいかな?】
それはそれは重い話だった。
最初はポリープなら切除すりゃ何とかなるだろうと思っていたが、声がなくなるという危機に瀕していた。
しかしだ、だからといって放置していい方向に進むものではない。やはりとるべきだろうと返答した。
その時に、少しは反省と、その後の人生を考えて生きてほしいと思ったので、その友人のことを思い出してみた。
その友人は若い時分は結構イキガった、いわゆるトッポイ生き方をしていて、20代後半にはタトゥーを入れていた。
ポリープとタトゥーに直接的な要因があるかどうかなんて全く分からないが、その友人には娘が3人いる。
その娘が後人生でつらい思いをしないようにという意味も込めて、『若い時分に無理してタトゥーとか入れてたらほかの人よりがん発生率も高いだろうしさ、少しでも早く体の悪いものはとっておかないと、娘たちの子供、お前にとっての孫の顔見れねーぞ』
と、メッセージを送ってしまった。
そうしたところ、友人からは、こう返ってきた。
【やっぱそうだよね。。。実は昨年ガンになったんだ。。。初期だったから一応今は元気になっているけど。。。】
と。
自分が発したメッセージに少し後悔しつつも私は友人だ。周りが言いにくいことを言ってでも励ましになるのならと思ってメッセージを改めて送った。
『そうか。。。でもな。俺らももう40になるような歳だ。お前だけじゃなくて、俺だっていつあっちに行くかわかんないんだよ。だからさ。自分があっちに行くまで、家族とどんな思い出が作れて何を残せるか。それで自分の人生が家族にとって、忘れることができない思い出になるんじゃないかな。俺はそう思う。』
『ちなみに言っておくと、俺は俺でね、昨年会社つぶしちゃったわけよ。嫁は俺より9歳も年下で、この年になると、カウントダウンしてしまうんだよね。どう考えても嫁が残される立場だろうからさ。俺がいなくなった後苦労しなくて済むようになんか考えてやらないと。。。そして、上の子は今3歳。俺は下手すりゃ孫の顔なんて見れないし、何も残せないかもしれない。だから、今を一生懸命生きて、今を幸せに生きなきゃってな。』
友人からはこう返答があった。
【あんたはあんたで壮絶な生き方してるなw私は、旦那が借金まみれでどうにもならないから今別居中。おそらく離婚だろうね。私には娘と自分の親しかない。あんたの言ってる通り、家族とあとどれだけ一緒に過ごせるか。。。あんたの言ってる通り、なにが残せるのかな。声でなくなるみたいだしさ。今何をしゃべっておけばいいのかな。】
改めて言うが、この友人は若いときはとがった生き方をしてきた。
そして、自分の弱みを見せないように常に自分にうそをつき自分を鼓舞し強く見せようと生きてきた友人だ。
20年以上の付き合いだが、ここまでお互いの本心を裸にして話したのが今が初めてだった気がする。
【あの時は良かったよね。何も考えず、楽しければ良かった。】
『そうだよな。無駄にお前といつも遊んでたw』
【でもその無駄な遊びって、今につながるよねw後悔してないわ~】
少し涙が出てきた。
お互い、当時は恋心などかけらもなかったし、おそらく今もない。
でも、そういう関係だったからこそ、相手の本質を見ていて、今になってお互いに素直に話せたのだろう。
若いときには人はたくさんの人生の岐路に立たされる。否応もなく。
その岐路に立った時何を選択するかでその後の人生というのは大きく変わるのだ。
人は、選択と後悔を繰り返し成長していく生き物だと私は思う。
そして、その選択と後悔は死ぬまで続くのだ。
進学のこと、就職のこと、お金のこと、趣味のこと、恋人のこと、結婚のこと、家族のこと、etc…
逆に言えば、今からでも出てくる岐路で選択を誤らなければ今からの人生だけのことかもしれないが、おそらく今より良くなるのだ。
私は家族が笑って暮らせる生き方を願い、友人は家族と今から築いていける良い思い出の積み重ねを願った。
若い時分、私とその友人は、岐路に立った時、選択をしてこなかった。
自然に任せ、流れに任せて流されてきた。
自分で選択してきたつもりだが、実はしてこなかった。
お互い共通の後悔はそれだった。
私は偉大な人物ではないが、後世に残せることがあるとしたらこれ一点だ。
難しい、面倒くさい、格好悪いかもしれないが、自分の人生は自分のものだ。岐路に立った時、わからない、できない、選べないではなく、間違いでもいい。選びなさい。
選ぶことで後悔はなくなるだろう。
と、残したい。
そして、私と友人は約束した。
友人は少しでも早くポリープを切除し、元気になって私の前に現れること。
私はその現れた友人にディナーを気持ちよくおごることだ。
この夏の間に実現するであろう、初めて自分たちで選択した、後々後悔をしない選択になるだろう。
この記事は友人との約束を忘れないために記載したものである。
2014年夏。