クロネコメール便3月末終了が決定!ネットショップ業界に激震が走る?

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2015年1月に、15年3月31日受け付け分をもって、クロネコメール便を廃止すると発表がありました。
一般の方にとっては大したことではないと思うかもしれませんが、各方面で波紋を呼んでいます。

クロネコメール便とは

ヘッドライン

クロネコメール便に限らず、各社が出しているメール便サービスは、【信書以外】の書類を配達するサービスです。
クロネコヤマトは、クロネコメール便、佐川急便は飛脚メール便、日本郵政(郵便局)も、メール便サービスがあります。
クロネコメール便は高さ1cmまでを82円、2cmまでを164円で配達してくれるサービスで、クロネコメール便だけがメール便の中でも追跡サービスがあり、業界でもトップクラスの取扱件数でした。また、郵便受けに投函という方式での配達でしたので、間違い配送や保障の問題などもあるサービスではありましたが、安価なサービスということで、低価格の商品を配達するのに、ネットショップ関係者が非常によく利用しているサービスでした。
それ以外でも、企業が提案書などを送ったりする際によく利用されており、幅広く利用されてきました。

なぜ廃止することになったのか

今回クロネコヤマトは、メール便サービス廃止に至る経緯として、【利用者が知らないうちに信書を送ってしまう】ことが非常に多いため、メール便を廃止し、もっと明確なサービスを提供することとしたということです。

信書とは

日本国で定められている(と、いっても明確な定義があるわけではない)信書というのは、請求書、領収書、注文書などの、特定個人に向けた書類など全般を指します。
簡単に言えば、ネットショップで注文した商品を送り、その中に同梱する納品書や領収書は信書になります。
いわば、ほとんどのネットショップ系のメール便はNGです。
ならば、納品書を同梱しなければいい。確かにそうですが、本来メール便は書籍や書類を送るためのサービスですので、基本的にサービス利用規約から逸脱している可能性があることと、納品書を送らないのであればそれはそれでネットショップモールの規約違反になる可能性もあります。
ネットショップでメール便を使う以上は何かしらのルールから逸脱する可能性があります。
話は戻して、特定個人に向けた書類は信書となります。
なので、ダイレクトメールや雑誌で、その書籍内に、個人名を印字したような書類も信書扱いになります。
最近は○○様!おめでとうございますと、印字した書籍や資料は当たり前のように送られてきますよね。すべてメール便ならNGになります。
かたや、特定個人向けた書類ではない、株券や手形などは信書ではありません。(だからといって、ポスト投函のメール便で株券を送る方もいないと思いますが。。。)
なので、本来利用したいもので利用できず、利用することがないであろうものが利用できるという変わった状態になっています。

なぜこうなっていったのか?考えてみた

いろいろなことがあるのでしょうが、まず、メール便はもともと郵便局の本来受ける業務である配達業務を民間が自由にやれないように作った郵便法がある中で規制緩和などがあり、各民間運送会社が始めたサービスです。
現在は、郵便局も、民間企業です(今年には上場も視野に入れていますよね)。なので、本来は郵便法は撤廃、もしくは郵便局有利部分の削除などがあるべきです。
しかし、法整備が進まないうちに、民間企業と郵便局の熾烈なシェア争いから、メール便あたりは規約違反などは黙認されてきたという経緯もあります。
実際、メール便の大半は書籍や書類ではなく、小さな雑貨などが主流だと考えられます。
そんな中で、メール便を利用していた店舗のいくつかが訴えられました。親書をメール便で送っているという疑いでです。
そして、それらが事件化し、店舗が取り調べを受けると同時に、クロネコも取り調べを受けることになります。
どうやら、その際に、中身を確認していないのかという問を掛けられているようです。
店舗(依頼者)の許可なく開封し中身を確認できるはずもないわけで、クロネコは関係省庁に何も言えない状態が続いていたようです。
結果書類送検されたりという状態が何件か続いたようです。
そして、今回の発表に至るわけです。結果として、【知らずに親書を送る】方がいるから辞めるというより、企業防衛のために辞めるといってもいいくらいです。

クロネコメール便廃止による影響は?

小さな話ですが、クロネコメール便の廃止は、安価で小さな雑貨を販売していたようなネットショップ・オークションストアは、大打撃です。
メール便で送れるサイズ・重量のものでも、小包として発送しようとした場合、安くて400~500円かかります。メール便は80~160円です。
倍~5倍の送料差が生まれます。
では、そのようなネットショップオーナーは、価格転嫁せず何かほかに方法はあるのでしょうか?

クロネコ以外からのメール便を使う

クロネコだけがメール便をやっているわけではありませんから、他者のメール便を使うことで価格転嫁せずに今まで通り運用できないことはありません。
しかし、クロネコを使っていた方の大半は、クロネコを使うメリットとして【追跡番号がある】事を指します。
クロネコだけが誰しもが追跡番号を持ち、相手に伝えることができたので、大変大きなメリットがありました。
価格転嫁はせず、他社に切り替えることはできますが、それからは追跡番号がないもので送るしか方法はなくなります。
ネットショップの重要な要素の一つに【安心】があります。発送の案内から到着までが購入者は一番不安なのです。手元に届くまでが一番不安です。
その間追跡できないとなると、どこに問い合わせてよいのやら。。。不安だけが残りますね。
価格と安心、両方を天秤にかけた場合、どちらも難しい話になりそうです。

送料は別にして選択してもらう

もう一つは商品代金と送料は別計算として、追跡のある小包として発送する代わりに少し高額の小包便か、追跡がない他社のメール便化を選んでもらうという方法です。
確かにこれであれば上記に書いたような不安は、お客様が価格か安心か選んでもらう方式になったように見えます。
しかし、よくよく考えてみればこのどちらも価格転嫁と言えないこともありません。不安が残る分安い、不安がない分高いというのは結局安い代わりに不安という対価を残すわけで、実際は値上げのようなものです。

考えられる2つの方法はどちらもクロネコメール便と同等にはなりませんね。
結局のところ価格転嫁していくしか方法はないのではないかと思います。
そうなっていくと、苦しいのは1000円を切るような商品を大量にネットで販売しているネットショップです。
80円だった送料が400円~500円になってくると、商品価格に送料込みとやっていた場合は1000の商品が1,200~1,500円としなければいけません。
大きな値上げにつながりますが、ショップオーナーの純粋な利益は変わらないという状態になるかもしれません。

しかし、待ってくださいね。これはEC市場にとって大きなマイナスなのでしょうか?

今日、EC市場でやはりいろいろ議論になっています。それではこの市場で大きなマイナス要因となり、市場にとって大打撃になるのでしょうか?
正直なことを言いますと、答えはNoです。
それは、単価が安いものだから市場全体から見たら小さい。。。とかではありません。

メール便で商品を送っているショップとは

メール便は安くて便利なサービスではありますが、その根本は書籍や書類、CDやDVDといったメディアを配達するためのサービスです。
それを小物雑貨の配送に使っているということは根本的に本来は規約違反なのです。
それが今回は、規約違反は多少は黙認していたわけですが、クロネコが犯罪片棒を担いでいたと思われ取り調べを受けたことが根本にあります。
本当に純粋にまじめに商売をしている人にとっては実はあまり影響がありません。
約束や契約内容を履行し、法律順守に努めているはずですから。
では、どんな方が打撃をこうむるのでしょうか。

小さな雑貨を販売するオークション販売者は手痛い打撃

おそらくその大半がこれです。
オークションで小物雑貨を販売していたオークションストアは大打撃です。
安く商品を売ることを目標にローコストなオークション市場に出品し、入札してもらっていたわけですから、販売価格は数百円だったことは間違いありません。
それらを送るのに数百円使っていては元も子もないわけですから極力メール便を使っていたと思われます。

いわゆる”せどり”ビジネスのネットショップオーナー

情報商材などが乱立したことで増えたネットショップがいわゆる”せどり”ビジネスを中心に展開しているオーナーです。
このうちの半分ほどの方は何かしらのフルフィルメントサービスを利用していると思われますが、残りの半分は、フルフィルメントを使用しない理由は、価格転嫁したくないので、自社発送、メール便という方が大半だと思います。
そうなってくると、おそらく、追跡ができたクロネコメール便がなくなることは大変大きな打撃です。
結果価格転嫁しなければいけなくなり、販売価格が上がり、結果売れなくなるという構図が見え隠れします。

EC市場はクロネコメール便廃止によりどうなっていくか予想してみた

上記を踏まえ、EC市場の今後を考えてみました。
結局のところ、まっとうにビジネスとして様々な要素を構築してきた人にとっては大した打撃ではありません。
多少コストはかかりますが、何かしらの方法で取り返すことを考えるだけのことです。
では、どんな人が消えるのか。答えは簡単です。
法を犯してまで、利益を上げようとしてきた方や、詐欺に近い商売をしていた方、そして、胡散臭いビジネスになっていた方は消えるでしょう。
同時に、メール便などは、その利用の容易さから、良く振り込め詐欺でも使われていました。どんどん運送方法として使いにくくなっていくと思われます。
少しはまともなショップが生き残り、胡散臭いところが消えていくと予想します!

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